そのコンクリート堤防のほとりには、モダン墓地ではなくトラッド墓地があります。この墓地、立派な石の鳥居が立ってるのがわかりますでしょうか。

墓地に鳥居があるのは全国的にも珍しいそうです。ここは来世墓といって17世紀前半に造られたものらしいです。来世墓は「らいしょ墓」と読み、「らいしょ」は「羅生」が転訛したらしいです。要するにこのあたりは中世以降さびれた町はずれということです。
2つある鳥居にはそれぞれ安永六年(1777)、文化七年(1810)の銘が刻まれています。それなりに古くそれなりに貴重な郷土の文化遺産です。しかしやっぱり本来の用途は墓地なんで観光ガイドとかに載せるわけにもいかず*1、知る人ぞ知る場所となってます。
いつもこの前を通るとき、古刹を拝むのと同じような感覚で、文化遺産的な視点で眺めていました。しかしこの日は腰の曲がった墓守風のご老人が掃除をしており、そこが墓であることを実感させられました。昔見た妖怪人間ベムのワンシーンを想起させられるようなたたずまいで*2怖くなってきたので、お墓を後にして西へ行きます。

*1:高野山なんかは墓地が観光スポットになってますが。

*2:失礼な物言いでごめん