これ面白いな
予想に反して面白かった。最終的な目的のためには過程や手段を選ばない姿勢がすばらしい。孫子の世界では、配下の兵士を死地に追いやろうが、味方の将軍を裏切って敵の餌にしようが、国の勢力を強くするという目的の前には全く問題ない。そんなん常識。そういう前提のもとに淡々と戦術論が語られる。また孫子は実際の戦力を行使しないことを強く推奨してるけど、それは単に目的のためにはそのほうが都合がよいからであって現代っ子の甘ったれた価値観にもとづく人道主義とかとは意図が全く違う。
私はといえば日頃のお仕事でもどんな反則技を使ったら手をぬけるか、ということばかりを考えてる最悪な裏技野郎なんで、同時に読んだ「五輪書」が説くような、地道な鍛錬を重ね目の前の相手を斬るパーソナルで正攻法なプラグマティズムよりも、よりドライで融通無碍な孫子に惹かれる。