技で勝負だ

私の好きなミュージシャンにデビッドヒュージンスキーっていうギタリストがいます。
http://www.torsos.com/index.html
演奏は信じられないぐらいすばらしいし、テクニック的にもまさにスーパープレーと呼ぶにふさわしいんですが、独特かつ変態的な音楽性(Funk+Jazz+Punk+ヨーデル)が災いしてか、自分で楽器を演奏するような人以外には全く売れていません。日本盤も出たことがありますがすぐ廃盤です。

最近はメジャーレーベルからの新譜がさっぱり出ないんですが、Webページをうまいこと活用して生計立ててます。たとえば、

  • MP3のダウンロード販売
  • WebページでCD(一部は家内制手工業CDR)販売
  • 自筆の楽譜*1のPDFファイルをダウンロード販売
  • プロモーター向けの資料とコンサート申し込みフォーム
  • Webページで寄付受付

CDは輸出もしてくれます。頼んでもないのにCDに直筆サインが入ってたりして、ファンから見てもまさに至れりつくせり。Webでの寄付受付のほうについては、ファイル共有に関する言及もあって『ファイル共有はすばらしい。けどCDが売れなくて廃業しなくちゃなんないのも困るよね。だから、共有されたファイルに対しての寄付をしてくれないかな?寄付してくれたらレアなLiveのMP3をこっそりあげちゃうよ?[ここで寄付ボタンですよ]』ていうことみたいです。

ところで、雑誌の整理してたら昔のRichard Stallmanのインタビューとか発見したんで読み返してみました。インタビュアーがRMSに『寄付金やなんかだけでFSFみたいな組織を維持できるとマジで思ってんの?』っていうことをシツコク聞いてるんですね。でも実際は今でもFSFはちゃんと存在しとるわけです*2。もう素人には真似できないような芸風を確立してる人ですから、ファンとしても西成あたりで昼間から酒煽るようなレベルまで落ちぶれられると非常に困るので支援するです。

で、音楽の話に戻ると、音楽も素人にまねできないようなレベルに達したら、それがたとえ世間の主流と違ってても、ちゃんとサポートしてくれる人もいるし、生計立てる方法もあると思います。Winny事件やなんかを境に『インターネットは著作権を侵害する道具』的な側面に過剰に注目が集まっているように思いますが、インターネットがあるおかげで、ファンがアーチストを直接的にバックアップすることが可能になった、と、前向きに考える人が増えてほしいと思います。さらに言えば、ファンとアーチストの距離を近づけつつ対価が還元されるようなしくみっていうのは、利害関係を考えると流通業者やJASRACからは絶対出てこないと思われるので、ミュージシャンも彼らに頼るんではなくて自分で食う方法を考えるのが健全だとも思います。

*1:当然、完璧に正確!

*2:私が以前所属してた会社もRMSに寄付してたんで、私も間接的に寄付したことになるかな。